商いのヒント     モード工学代表 森田洋一      トップページへもどる

−問屋新聞 1段目−   
(横山町問屋新聞11年07月13日付に寄稿)
個店専門店の時代が来ている
 
 
 米国のSPA、フォーエバー21の1号店が2009年4月原宿に開店した。フォーエバー21は開店1カ月の客数が約43万人、推定売り上げが10億円であった。原宿の街にはフォーエバー21の黄色い袋を持った人があふれた。前年9月にスウェーデンのH&Mが日本に初出店したときもそうであったが、この黒船の襲来を、ファッション
   
雑誌だけでなく一般誌、新聞からテレビまでが好意的に取り上げた。
 当時多くのマスコミが、この低価格・短サイクル・それなり品質のファストファッションを新しいビジネスモデルであると勘違いしたが、それは誤りである。
  欧米のSPA(自社企画小売り)はギャップのように計画大量生産売り消し型が多い。それに対して日本のSPAは、商品回転率を上げられるので、家賃が高いこともあって、フォーエバー21タイプがもともと主流である。だから、このタイプを日本型SPAともいう。
  簡単に日本型SPAの歴史をおさらいしておこう。第1回目のヒットは、80年代のバブル時代にファッション業界をリードした三愛・鈴丹・キャ
   
ビンなどの専門店チェーンである。彼らは、売れ筋を見つけると、前もってラインを開けておいた協力工場ですばやく追加生産をした。売れた商品は止まるまで追加を続けた。他店の売れ筋も、気がついた時点で次々に投入していく。それを可能にするために縫製工場や生地屋には極端に短い納期を要求した。まさにファストファッションである。
  2回目は、オゾック・MKミッシェルクラン・インエ・イネドなどのブランドが活躍した90年代半ば、規模がより大きくなったがやり方は第1回目と同じである。
 3回目は2000年代初めである。超低価格、それなり品質、それなり短サイクルの中国生産
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−問屋新聞 2段目−
という手段を得たことで、日本型SPAはさらに広がった。大手や中堅のおもだったアパレルがこのタイプになった。そして今回のSPAブームが来た。
  SPAの定義を「コピー商品を安く売る」とゆるめると、その歴史は三愛・鈴丹・キャビン時代よりもさらに昔にさかのぼることができる。流行は約7年のサイクルで循環している。
  私は、SPAが有利になる流行を「同一視」と呼んでいる。同一視の時期の消費者は、デザインや品質に妥協する。だから、どこにでもありそうな商品でも立地がよくて安ければ売れてしまう。他人と同じものを欲しがり、個性や鮮度を求めない。そのため商品寿命が長くなる。
  同一視と逆の流行が「対立視」である。デザインや品質に妥協できず、価値のあるものにはそれにふさわしい価格を払う。安くてもダサいと
   
受けつけない。他人とかぶることを嫌い、個性と鮮度を求める。そのため商品寿命が短くなる。
  同一視と対立視は3年半ずつの7年サイクルで循環している。現在は、あなたも気づいているように対立視である。対立視の時期は同質化した大型店やチェーン店よりも個性的な専門店の方が有利になる。現に、本来の定義どおりのセレクトショップには客が戻っている。裏通りなどに新店がぞくぞくできている。
  では、この個店専門店に有利な時代にあなたがとるべき対策をアドバイスしよう。
@ 仕入れる商品の種類を増やす。店頭在庫を減らす。速め速めに商品を入れ替える。商品力と商品量は逆比例する。
A 仕入れ先とそこへ通う回数を増やす。時間がかかっても元は取れる。
B 同じ物だからといっていつまでも店内の同じ所に置かない。商品の価格は統一しない。全部
   
の品番に違う価格がついているのが理想である。
C 売れ筋コピー型のオリジナルは厳禁。大手のSPAが苦戦する時期に小さい店が真似をしてはいけない。
D 競合店とかぶる商品は極力減らす。
 
【この文、11年11月04日転載】
 
【関連ページ】 
原因も結果も同じ、だからやるべきことも同じ。
(理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章6節より)
フォーエバー21 開店1カ月
 
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−問屋新聞 3段目−
(横山町問屋新聞11年11月28日付に寄稿)
分離デザインがヒットする
 
 今春夏、紳士服のドレスシャツに異変が起こった。ボタンホールのステッチ糸に色が付いたのだ。その色糸付きシャツを着るビジネスマンが月を追うごとに増えていった。
  ビジネス用ドレスシャツは白が多いが、カラーシャツを含めて縫い糸には同じ色が使われる。これが基本であり、現実に圧倒的に多い。つまり、ドレスシャツのボタンホールに本体と違う色糸を使うことはタブーなのだ。
  弱いタブーが働いているデザインは流行から外れると市場がほとんどゼロにまで縮小する。市場から消えて無くなったはずのデザインをあ
   
ちこちで見るようになれば、流行しているとだれにも分かる。
  わたしは色糸ステッチのような流行を「単離」と呼んでいる。単離とは商品がパーツごとにバラバラに分解される流行である。分解されていなくてもパーツの違いを強調したデザインにすればやはり単離である。ステッチ糸は本体の布地と一体化させてなるべく目立たさないのが基本であるから、色を付けて分離独立を主張させると単離のデザインになる。
  単離の流行が本格化するのはこれからである。ドレスシャツでもこれからは今までよりも過激な単離デザインが売れるようになる。襟や袖口、ポケット、ボタン、前立、パッチ、裏地などで、色、柄、素材を切り替えたものが売れるし値段も通る。ビジネスマン向けだと表現も市場占有率も限界があるが、カジュアル用途ならさらにマスで売れる。大胆な切り替えもOKだ。
   
  これは婦人でも同じである。普及の早さでみても、ピーク時の市場占有率でみても、デザインの大胆さでみても、レディスの方がメンズの上を行くはずだ。
  アイテムの種類も関係ない。たとえばシューズでは、スニーカーの人気が落ちて革が復活してきているが、これは服地っぽい素材から靴っぽい素材への回帰であるから単離の流行である。ウエアからの分離独立を宣言しているのだ。
靴は他のアイテムとの間だけでなくその内部でも分離独立運動が起きる。縫い糸はもちろん、レースひも、パイピング、靴底なども色違いや素材違いが増える。コンビが売れる。
  プリントは、写実的な具象柄が落ちて抽象柄に人気が移る。写実的な柄は、それが描いてい
 
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−問屋新聞 4段目−
る物と現実にあるアイテムが、見た人の頭の中で混ざるので、分離独立の流行期には不利になる。
  さてあなたの対策である。これまで説明したような単離アイテムがたくさん仕入れられたらハッピーであるが、売れる商品は足りない商品であるから難しい。だったら自分で作ればよい。店の内部を単離シフトさせるのだ。
  分離独立は、それぞれのアイテムの間でも起きる。以前はトップとボトムが一体化したワンピースやコンビネゾン(つなぎ)がヒットしていた。これからはトップとボトムが分離独立してくるので単品のヒットが増える。それもコーディネートしすぎないほうがいい。店のボディに着せるとき、トップとボトム、アウターとインナーで色柄素材の大きく違うものを組み合わせよう。裏地がおしゃれならそれも見せよう。小物も同じである。
   
  店内も場所ごとに分離独立させよう。プチ専門店をいくつも作るのだ。「赤コーナー」「青コーナー」と色でやってもいいし、「パンツコーナー」「ジャケットコーナー」とアイテムでもいい。「ガーリー」だ「ボーイッシュ」だと雰囲気で分けてもいい。とにかく混ぜないことだ。
  各コーナーの間は、隙間をあけたり商品以外のものを置いたりして、それぞれが別な専門店であることをお客様に分からせよう。
 
(モード工学代表 森田洋一)

 
【この文、11年12月29日転載】
 
 
【関連ページ】 
非ウール 新機能に支持
   
 
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このページ作成 ’11年10月04日 最終更新11年12月29日
 
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